ながら勉強

ながら勉強というと、ラジオを聴きながら勉強するとか、そういうやつのことです。これは勉強に集中できなくてよくない、とされております。それは、ついラジオの方を聴いてしまうからです。逆に言うと、ラジオの内容というのは、「勉強しながら」でも、なんとなく頭に入ってきてしまう。音声情報というのは頭の中にむりやりにでも入ってくるし、それほど集中力を要さないような気がする。
ところで、この間id:toledさんが、何か他のことをしながら某哲学者の講演をインターネットのポッドキャストかなんかで聴いた、とおっしゃっていました。しかも、彼はだいたいその講演の内容が頭に入っているようでした。考えてみるとこれは、「勉強をしながらラジオを聴く」ではなく、「勉強をしながら勉強を聴く」ではないでしょうか。まさしく究極のながら勉強です。
しかし、この方式にも問題があって、それは、「聴く」という形式になった勉強的素材というのがあまりない、というかあまり選べない、ということです。自分が勉強したい哲学者に関する音声素材が都合よくある、というのはめずらしいことです。では、誰かに読んでもらえばいいかとそういうわけにもいきません。そういえば某ヨシモト先生は、雑誌の対談かなんかをするときに、その対談で話題になる哲学者の思想を、あらかじめ対談相手にレクチャーしてもらっていた、という噂を聞いたことがあります。で、対談本番では、ヨシモト先生は、さもその哲学者の本を何冊も読んだような顔をして「○○の思想というのは……」とかやっていた、というのです。しかし、大先生でもないかぎり、そんなことはできません。
そこで考えたのが、読み上げソフト、というやつです。テクストファイルを、音声に直してくれるソフトのことです。最近は結構精度があがっているという話です。とりあえず、フリーのものを探してみたところ、SofTalkというソフトhttp://cncc.hp.infoseek.co.jp/が簡単にインストールできました。で、ちょっと読むのはめんどくさいような難しいテクストをこのソフトで読み上げさせながら、別の本を読む、というのをやってみました。その結果……まあたしかに以前に比べれば精度はあがっていると思いますが、変なアクセントとか、変な読み間違いがありすぎて、相当集中して聴かないと、内容が頭に入ってこないようです。集中して聴けばいいわけですが、それなら、集中してそのテクストを読めばいいわけで、「ながら」の素材としては使えないようです。
結局、「本を読み聞かせてもらう」という楽をするためには、ヨシモト先生のような大先生になるしかないようです。私はもう遅いですので、若い方々は、今から苦労して本をいっぱい読んで、大先生をめざすといいと思います。