1 仏前

 というわけで、フランスに行きました。フランス哲学の「研究」をしている、というと、もう何度もフランスに行っているのだろう、とか、仏ペ(by新庄)なんだろう、と思われてしまうのですが(まあ実際そういう人は多いわけですが)私に関して言えば、フランスに行くのは今回が初めてであり、しかもフランス語はからきしダメときています。というか、サルトルに興味はあったけれど、正直いって、いままでフランスという国自体にはあまり興味がもてなかった(おいおい)。したがって、これから書くのは、フランス語さっぱりダメのフランスドシロートによるたった3週間のフランス初旅行記、なわけで、そこのとこよろしくお願いします(て誰に言い訳しているのやら)。
 さて、今回は、さかのぼって旅行前の話です(さかのぼりすぎ)。飛行機はぜいたくにエールフランスの直行便にしたのですが、出発前はかなりドタバタしてしまいました。昼頃成田を出る便なので、家を早朝に出なくてはいけない。国内便ですが飛行機に乗り遅れたことがある私は、念のため、前夜成田のホテルに泊まることにしました。関係ないですが、その成田のホテルでなんとなくテレビを見ていたら、吉本の木村祐一がバーテンで、客が今田耕司インリン・オブ・ジョイトイその他、という設定のバラエティーをやってました。話題が台湾の話になり、インリンが、「台湾では日本の男はもてますよ」と言ったところ、今田が「そうそう、俺も台湾に行ったとき、みんなものすごい親切やった。台湾のおばあさんとか日本語しゃべれて、話しかけてきた。」それを聞いた木村、「え?なんで日本語しゃべれんの?あそうか、台湾で日本のドラマとかやってるのかな。」今田「あ、そうそう、日本のテレビ番組いっぱいやってた。『幸せ家族計画』とか。」……て、おい、ドラマ見ただけで日本語しゃべれるようになるかよ*1。ていうか吹きかえてあるだろうが。……そのへんでテレビを消したのですが、エロテロリストのインリンはこの会話をじっと聞いていたけどどう思っていたのだろうか。
 飛行機は通路側の席にしたのですが、窓側の二人はたぶん大学生の男二人組でした。会話があまりにバカっぽくて笑ってしまいましたが、いちばん可笑しかったのが、到着直前に配られる入国カードに関する話題。記入する項目名はフランス語で書いてあるのですが、二人ともフランス語はまったくできないらしいので「全然わかんねーよ、これ」と言っている。フランス語の下に対応する英語が書いてあるので、一人が「下に英語書いてあるよ」と。が、もう一人は「あー、でも英語も全然わかんねーし。ていうかこのマイデンて何だよ。とくにこれがわかんねえよ。」もう一人も「さー。知らねー。」で、それは Maiden Name(旧姓)のことなのですが、マイデンて……。アイアン・マイデンかよ。それはともかく、日本の旧姓に当たる言葉が、英語だと Maiden Name(ショジョの名前*2)で、フランス語だと Nom de jeune fille(ショージョの名前)なわけですね。て郷ヒロミかよ。て若えもんは誰も知らねえよ。
 というわけで、今回はこの辺で。てフランス着いてないし。

*1:もちろん実際のところはわかりませんが、「おばあさん」と言っているのだから、日本統治期(1895〜1945年)に日本語教育を受けたからという可能性が高いのではないでしょうか。

*2:まあ、この場合「未婚の」という程度の意味なのでしょうが。