言っていることじゃなくてやっていること

 「小泉に反対」するために、小泉が「言っていること」に反対、という形になってしまっては、「小泉が言っていること=改革」というイメージがここまでできている現状では「小泉反対派=改革反対派」と見られてしまうわけで、最初から負けているようなものです。したがって、小泉に反対だからといって、小泉が「言っていること」に反対しなくたっていい訳です。「私も小泉さんと同じく改革派です」と言えばいいじゃないですか。
 その上で、「小泉という人」に反対すればいい。もう少し詳しく言えば、小泉が「やっていること」に反対すればいい。小泉は口先では改革と「言っている」けど、全然改革なんて「やっていない」と。
 経済学的な細かい議論をしなくたって、小泉が「やっていること」が「改革の反対」であることは明かだと思うんですが。いくらでも例はありますが、整備新幹線の問題はどうでしょうか。去年小泉政権は、工事費が合計で1兆1600億円にも上る整備新幹線三線のゴーサインを出したわけですが、工事費の内、国が払う分は、将来JRが国に払う予定の金を担保に銀行から借金をして払うとか。国が前借りして買い物依存症とは……。中村うさぎじゃないんだから。開発依存症ってか。もちろんこの借金のため、多額の利払いが余計にかかることになる。

前にも述べたが、小泉政権は党内合意すら省略するほど郵政民営化には狂奔しながら、一方で北海道新幹線を始めとする整備新幹線三線の同時着工にはゴーサインを出し、静岡空港神戸空港の建設は中止しようとしない。完成開業しても赤字経営が必至と言われている大型の公共事業を、削減縮小するどころか新規に拡大して予算支出を膨らませている整備新幹線事業は、橋本内閣以来の歴代の自民党政権族議員や地元議員の抵抗を押し切って凍結を続けてきた予算案件である。そのことは誰でも知っている。橋本政権の当時は、新幹線の建設がいかに採算の合わない無駄な事業かを繰り返し久米宏が『ニュースステーション』で報じていた。朝日新聞も徹底的にキャンペーンを張っていた。ところが小泉政権整備新幹線着工には誰も文句を言わない。一方で国の借金が700兆円だあと騒ぎながら、その後に言う決まり文句は「郵政民営化」だけで、小泉政権による整備新幹線着工を批判する言論は全く無かった。道路公団だけにスポットが当てられて、「改革」が演出されている。
http://critic.exblog.jp/3288288/

 特殊法人改革もそうで、thessalonike氏が言うように、いつの間にか特殊法人問題はマスコミがそれを問題として真剣に追及しなくなった。
 というわけで同じくthessalonike氏が言うように

だからマニフェストだけを読んでそれで政党を評価するのは間違いなのだ。本当に評価し判断しなければならないのは、その政党がこの二年間に何をやってきたか、党首や幹部が何を発言してきたか、汚職や非行で議員が逮捕されなかったのか、外国との関係はうまくやったのか、そういう過去の政治実績である。そういう政治実績の情報こそが政党への評価材料として国民の前に提示されなければならない。国民はそれを見て、どの政党を信じるかを決めるべきなのだ。
http://critic.exblog.jp/3380159#3380159_1

 t-ocyayaさんがおっしゃっていることもそういう感じですよね。

なぜ自分はこの民営化の意見にしっくりこないのかを考えたのですが、その理由は、基本的に僕は小泉は絶対に信用ならないと考えているからでした。これまでさんざん我々(企業と年収3000万円以上の金持ちを除く)に煮え湯を飲ます政策を続けてきた小泉が、郵政民営化だけ、万民にとって利益のある政策を採るはずがないというわけです。(……)
 だから、僕はもう一度訴えたい。小泉の口車に乗るな! と。
 そして、その証拠は、これまでの小泉政権やってきたことを見ればわかると。
http://d.hatena.ne.jp/t-ocyaya/20050827#p1

 ここんとこ床屋政談ぽくなってて自分でもはずかしいなあ……。ちょっと別の話題も書きます。