国営ヤクザと太鼓持ち

7月5日札幌でのデモ4名逮捕の状況の、現場にいたmadashan氏による報告です。

本日(7月5日)の札幌におけるサウンド・デモにて、トラックの荷台にいたDJ二名と運転手の人がパクられました。僕自身はちょうどトラックの真後ろくらいにいたのですが、突然−−とはいえ、何度かトラックにちょっかいを出そうとはしていた−−機動隊どもが割って入り、トラックを防護盾で完全に包囲、参加者から遮断しました。はじめ何かが起こりそうなのかとも思いましたが、そのときにはすでに運転席から運転手の男性を引きずり出そうとしていたようです。荷台のDJが騒ぎ、カメラを向け、それに気づいた参加者や囲んでいたジャーナリストたちが一斉に運転席へ近寄ろうとしましたが、オマワリどもの壁は崩れず、それどころかDJ二名まで拉致されました。

直後に聞いたところによると、運転手に関しては運転席の窓ガラスを割って、無理やりこじ開けたとのこと。それで、逮捕理由が公務執行妨害だと。なんだ、それは。こっちは本来しなてもいい許可申請までしてやってるんだぞ、カス。死ねよ。というか、公妨ってなんだ。とりあえず、さっき警察署に弁護士を派遣した救対の人の話によると逮捕者は四名、上記三名に加えてロイターのジャーナリストも持っていかれたとか。

http://d.hatena.ne.jp/madashan/20080705/1215260038

で、このデモと不当逮捕をマスコミはどう報じたか。新聞報道に関しては、king氏が紹介しています。
http://d.hatena.ne.jp/CloseToTheWall/20080705/p1
テレビの報道はどうだったか。といってもたまたま目に入った2・3のニュースを見ただけですが。
6時の日本テレビのニュース。

札幌ではサミットに反対しているNPOなどが主催して、「1万人ピースウォーク」というイベントがおこなわれました。イベントでは、G8の首脳を皮肉る仮装をしたり、メッセージを書いたプラカードや旗をかかげ、各国からの参加者が、札幌の中心部をデモ行進しました。

デモの様子を映した映像(ものすごい警官の数)がうつったあと、街頭インタビューが流れたのですが、これが。
さいしょのインタビューは、20代後半ぐらい?の長髪で黒いシャツを着た男性。後ろに楽器店の看板が見えるが、ちょっとロックやっていそうな感じなので、店の客かバイトか何かだろうか。テロップには「札幌市民は……」と映っています。

札幌じゃあ……めずらしい光景だったんでえ……まあ、少し怖いかなとは思いましたねえ

二番目のインタビューのテロップは「楽器店の店主は…」となっている。ヒゲをはやして黒いシャツを着た40代か50代の男性。かなり眉をひそめた表情。

怖いですねそんな急にねえ!……何の用意もしてませんからねえ……(うんうんうんというインタビュアーの声がかぶる)

「用意」て……。まあつまりあれですね、おそらく「デモ=暴動」とか刷り込まれてしまっているので、「うちの店が襲撃されたらどうしよう」とか思っているんでしょうね。
警官に襲撃されてるのはデモ隊の方なんだけど。
ていうか、たまたまそばにあった楽器店のバイト(客?)と店主にインタビューしただけってのがみえみえだな。まあいいけど。
続いて逮捕について。

また、この行進に参加していた日本人の男性4人が、公務執行妨害などで、逮捕されています。

映像のほうは、多数の警官が車のわきでひとりの人物をとりかこみ押さえつけている様子が映っています。

そのあと、多数の警官が、道路にたおれたひとりの人物の両腕をつかみ、そのまま引きずっている映像がながれます。かなりのスピードで、何メートルも引きずっています。

素直によく見れば、警察ひどいな、という印象を受けて当然の映像と思いますが、どちらの映像も(さっきのインタビューに比べて)一瞬なので、多くの人は、「暴れていたので押さえつけている」とか「暴れていたので連行しているところ」とか、警察の都合のいいように受け取るのでしょう。
その後は、首都圏でも警備が強化されている、という話題。3年前のイギリスでのサミットでは、開催地から離れたロンドンがテロの標的となった前例がある」ので、首都圏の警備が強化されている、と。
とにかく「デモ」と「テロ」を結び付けようとする警察の意向にそったかたちでの報道となっています。
まあこんなニュースしか流れないもんで、札幌ならずとも「市民」は、「デモ」「テロ」「スト」みたいな2文字のカタカナは全部「怖い」という脊髄反射しかしないように調教されているわけで。なんとも困ったわけで。とか書きながら実は「北の国から」て観たことないわけで。
夜のテレビ東京のニュースでは、ジャーナリストの逮捕についてこのように言っていました。

このデモの取材中に、体を押されて腹を立て、警察官の腰を蹴ったとして、ロイター通信の日本人カメラマンが逮捕されました。

まあこれも警察のいいぶんなわけで。madashan氏の記事のブクマコメントに「警察の人の話も聞いてみたい」というのがあったけど、警察の人の話しか聞けないのが問題なんじゃないか?
普通だったら、他人に「仕事しろ」なんて口が裂けてもいえない私なのですが、こういうマスコミ報道を見ると、「取材」しろよ、つまり「仕事」しろよ、てあえていいたくなりますね。もちろん働きマン的に、ものすごく忙しく「作業」はしてるんでしょうけど。警察の言い分を聞いて、それらしい映像とコメントをつけて「ニュース番組」ぽくする、という作業はね。
まともな情報がブログからしか得られないので、新聞とかテレビとか、もう「報道機関」としては、イラネーな、と思います。
追記:
録画していた映像をもう一回見ていたら、衝撃的な?事実に気がつきました。インタビューに答えていた黒シャツの若者の胸のあたりに、うっすらとあるマークがついているのです。このマークです。

胸にピースマークをつけた黒いシャツの(たぶん)ロック青年が、「デモが怖い」て……。
そうか、「胸にピースマークをつけた黒いシャツのロック青年」がデモを怖がるはずがない。きっと、「怖い」というのはデモではなくてデモの弾圧の方なんだ。と思うことにしました(たぶん違うような気がしますが)。